── アソブロックの「編集部立ち上げ支援」でユニークなのが「いずれは自走できる体制を目指した編集部の確立をご支援します」というメッセージだと思っていまして。それについて団さんに聞きたいことがあります。
団:はいはい。
── 少し意地の悪い質問かもしれませんが、実際のところクライアントさんの社内でメディア運営が自走できるようになるケースって、あるものなんですか??
団: ありますよ。古いところから思い返していくと……たとえば「経革広場」というサイトなんかはそれこそ軌道に乗せるだけして、あとは頑張ってくださいねって渡せた例ですね。もうかれこれ十数年前の事例ですけど。 今も多分サイトとしてはあって。
── こちらでしょうか。
団:そうそう。これはもともとはマイクロソフトさんが依頼主で。
──マイクロソフトさんのオウンドメディアですか?
団:当時はそうでした(※)。「Office」シリーズなんかのマイクロソフトの製品を使って仕事をしてくれている人たちに対して、製品を提供するだけではなくてよりインセンティブになるような情報提供をWebを使って行おうというのが発端でした。だけどどんなふうにしたらいいかわからんから手伝ってくれって相談をもらって。
(※)「『経革広場』は、2002年12月に日本マイクロソフト株式会社が立ち上げ、月間100万ページビューをカウントする人気サイトとなりましたが、2011年12月1日に一般社団法人日本中小企業情報化支援協議会(JASISA)に移管し、リニューアルオープンしました」 とのことです。 (出典:経革広場について)
──マイクロソフトさんからのご相談?
団:いや、直接のお声掛けは野村総研さんからでしたね。プロジェクト体制はマイクロソフト、野村総研、アソブロックっていう座組みでした。 野村総研さんが、マイクロソフトさんのビジネスコンサルタントの立場で入っていたので。マイクロソフトの日本のシェアの拡大に向けてみたいな命題のなかで出てきたひとつの施策だったんですね。
──メディア立ち上げの第一歩はどんなことから手をつけたんですか?
団:まずは、さあどんなWebサイトにしましょうかっていうことを計画するところですね。クライアントさんのなかでおぼろげにあった理想形を具体的なコンセプトに落とし込めるよう、ヒアリングしていきました。すると、当時はまだキュレーションメディアみたいな言い方はなかったんですけど、志向としてはキュレーション型であることがわかってきた。
──オリジナルの記事にはこだわらないということですね。
団:そうです。いずれ自走できるようにするにあたって、自分たちでひたすら記事を書くんじゃなくて。 情報は必ずしも一次情報じゃなくて、二次情報で構わない。二次情報でも有益なネタをスピーディに集約して読者に橋渡しすることができればそれは充分に価値があるだろう、そこに価値を置きたいという発想です。
──方向性が見えたら、次にとりかかったことは?
団:キュレーション型でいくとして、じゃあどういう情報を集めたら、ターゲットとするビジネスマンが読みに来てくれるんだろうというところから、コンテンツのフレームを考えていきました。
ビジネスマンとひとくちにいってもものすごく幅広いわけですから、ターゲットの属性別に、たとえば税理士さんだったらどういうかたちで情報収集をしているのだろうかとか、最初のほうはそういうのを具体的にひとつずつ考えていって。どうやら自治体の助成金情報とか見ることがあるらしい、じゃあ税務局が発信している情報をニュースソースにしようか、とか。
そんな風に「ターゲット」→「ターゲットがほしい情報」→「情報のソース」というフレームのパターンをつくって、設定したターゲットごとにそのフレームを埋めていきました。営業マン向けとか、バックオフィスの人向けとか。やっていくうちになかには税務局発信の情報だけど、税理士じゃなくて一般の企業の経理部の人でも知っておいたほうがいい 読んで役立つだろうネタも出てきたりして、少しずつフレームどうしがつながって、広がっていく感覚がありましたね。
──キュレーションメディア型だったということで、記事の制作自体にはあまり関わらなかったのですか?
団:最初はそうでしたね。求められていたのはあくまでメディア全体としての完成度だったと思います。記事は結局どこかからの拾い物なので。もちろん専門用語がすごい多いやつをリライトするとかっていうことは、サポートしましたけど。
ただ、少しずつ更新が軌道に乗り始めると「とはいえコアコンテンツはいるよね」みたいな話も出てきて。単なる寄せ集めじゃなくて。やっぱりここでしか読めない記事がいいと。
で、それこそ堺屋太一さんに連載してもらおうとか。なんとなく、いかにもマイクロソフトと野村総研が考えそうなといえばそうなんですけど(笑)。いわゆる経済界のビッグネームに連載を依頼したい、とか。
そうした著名な方たちには、どのような頼み方をするのが最も受け入れてもらいやすいのかとか。ギャラの相場はどうなのかとか。あと、そもそもああいう人たちは、本当に自分で原稿書いているんでしょうかとか、意外と普通の企業の方からしたらわかんないことだらけなんですよね。そこのノウハウがほしいというのは、結構強くご要望いただいた部分ですね。
──自走できるようになるためには必要なノウハウですもんね。どうやってお伝えしていったのですか?
団:そのへんは結構、こまごま言葉で伝えるというよりは、実際にやってみて、それを横で伴走して見ててもらうというスタイルでした。
で、横で見ていてもらうと、頭いい人たちなので、次はすぐに自分たちで同じことができるので。感度よくキャッチアップしてくださいましたよ。上手に盗んでくれた。なるほどね、わかりましたって。
──ノウハウを盗んでもらって嬉しそうなのが、アソブロックらしいですね。
団:そうですそうです。ほんまに嬉しいですから。どんどん盗んでもらえたらと思います(笑)。
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