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地域社会を創る~被災地で働くという選択~

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2011年3月11日14時46分、東北地方太平洋沖地震が起こり、その揺れに伴い津波が発生し多くの都市を襲いました。東日本大震災です。2017年においても多大なダメージを被った数々の都市での復興は続いており、元の姿に戻るまでにはまだまだ時間がかかりそうです。

昨年2016年にも、熊本を中心とした地震が起こり、熊本城が崩壊してしまうなど、日本社会が呆然としてしまうようなニュースもありました。最近では洪水が大きな爪痕を残しています。

このような災害が起きることで、様々な活動に注目が集まるようにもなりました。「災害復興支援」です。これまでも、地域社会に寄り添うような仕事は数多くありました。例えば、子どもに優しい街づくりに携わる地域実行委員会や地域の行事をマネージメントする地域活性化プロジェクト推進委員会のような団体です。これらの仕事に加えて、災害復興支援という仕事に期待が集まるようになりました。

では、災害復興支援には具体的にどのような仕事があるのでしょうか。災害復興支援と聞くと、震災等で崩れた瓦礫を撤去したり、農家の支援を行ったりするような仕事を思い浮かべる人も多いと思いますが、他にもいろいろな仕事があるのです。

 

風評被害に立ち向かう広報

東日本大震災でその二次被害として長年問題となっているのは風評被害です。特に、福島のお米農家はそのダメージを5年以上経った今もなお受けており、お米の流通量の減少、それに伴う農家全体数の減少がかなり大きな問題となっています。

そのような災害による二次的な被害を解決するために働いている人がいます。具体的な仕事内容としては、たとえば被災地の農家の現状を調査し、その作物の化学的分析を行うような仕事があります。それらのデータを各所に情報共有することで、正しい現状について報道番組を中心として世間に広めていくという活動です。

 

写真修復業務

災害で失われたものは人の命や住居だけではなく、被災地に住んでいた人の思い出も同様です。その思い出のひとつの形としてあったものが「写真」でした。東日本大震災では、多くの写真は震災に伴い発生した津波によって大きなダメージを受けてしまいました。その写真を修復するのも地域住民の思い出を作り直すという意味で、大切な仕事であると言えます。

具体的には、水没してしまい色褪せて、ボロボロになってしまった写真を特殊な溶液に浸し、それを重りではさみこむことで元の写真を取り戻すという作業を行います。多くの団体は被災地の体育館を借りて行っています。この作業は非常に難しく、専門家の知識や経験も必要なので、写真メーカーとの共同作業として行う場合が多いそうです。

被災地コンサルティング業務

被災地に期待されるのが、「注目」と「資金」です。災害は起こった直後から1年間くらいは報道番組などで取り上げられる機会も少なくないので世間からの注目もありますが、徐々に話題になる回数も減っていくものです。

そのような流れに対抗するために、立ち上げられたのが被災地コンサルティングです。主な業務としては、被災地を実際に訪問し、リアルな現状をしっかりと調査し、出版社や報道番組と手を取り合うことで、被災地への注目をもう一度取り戻すというものです。

それによって被災地への寄付や復興活動を行ってくれる企業や地方団体を募り、被災地の復興スピードを上げるというのが大きな狙いです。実際に、この活動を通して被災地への資金の流れを呼び込むことができ、この活動がなければ改修されなかった建物も数多くあります。

 

震災地森林業務

被災地の緑が減ってしまった地域に植物を植え、緑を取り戻そうという仕事です。主に、企業や非営利団体などによって行われている仕事で、これを専門に行っているというわけではありませんが、この仕事に割かれている人員は少なくありません。それほど、重要視されているということなのでしょう。

被災地には、人の手が行き届かなくなってしまった地域も多く、野生動物などによって荒らされてしまうようなところも少なくありません。そのような地域の清掃や美化活動も業務のひとつです。

いかがでしたでしょうか。これまで紹介してきたように「災害復興支援」と言っても、その関わり方にはさまざまな形があるということがお分かりいただけたでしょうか。被災地の復興支援はこれからも続いていきます。被災地では今現在も困っている方々が多くいます。その方々に手を差し伸べるという仕事には、ほかの仕事にはないかけがえのない意義があります。

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