パンダが生まれるとお祭り騒ぎでおなじみの上野動物園ですが、実はその地下に、今は使われていない駅があるのをご存じですか?
博物館動物園駅
「博物館動物園駅」と名付けられたその駅は、京成電鉄本線の駅で、現在の京成上野駅と日暮里駅の間に位置しています。
1933年(昭和8年)に上野動物園のほか、東京国立博物館や東京科学博物館の最寄り駅として開業しましたが、老朽化や乗降客数減少のため1997年(平成9年)まで営業したのち、2004年(平成16年)に廃止されました。
現在、出入り口は閉鎖されているものの、西洋様式が特徴的な駅舎や地下のホームは残されています。
ぜひ京成上野駅から電車に乗った際は、窓の外によ~く目を凝らしてみてください。日暮里駅に着くまでの間に、暗闇に浮かび上がるホームを目視することができます。
実は東京にはほかにも、現在は使われていないけれど、その遺構をうかがい知ることができる駅があるんです。
万世橋駅
万世橋駅は、1912年(明治45年)に開業、現在の秋葉原駅から徒歩4分ほどの場所にあり、神田川に面する「万世橋」のたもとにありました。
東京駅が1919年(大正8年)に完成するまで、中央本線の起終点として栄えましたが、神田駅や秋葉原駅といった利便性の高い駅が徒歩圏内に開業。さらには関東大震災で駅舎が焼失するなどしたのち再建や解体を繰り返し、ついに1943年(昭和18年)、乗降客減少に伴い、万世橋駅は休止となりました。
現在は、当時のホームや壁面などを活かしてリノベーションされた商業施設「mAAch ecute(マーチエキュート) 神田万世橋」に生まれ変わり、大人も子供も楽しめるスポットになっています。
mAAch ecute(マーチエキュート) 神田万世橋
http://www.maach-ecute.jp/about.html
▲万世橋駅跡
JR両国駅3番ホーム
▲両国駅
両国国技館の最寄り駅、両国駅には総武線のホームから一段低い場所に閑散としたホームが存在します。
幻の3番線ホームと呼ばれ、現在は使われていないこのホーム、かつては東京都心から房総方面へ向かう中長距離列車の発着駅でした。
今ではごくたまに、臨時列車の発着があったり、ホームを使ったイベントが行われたりしています。
▲7月に行われていた期間限定のイベントの様子。
味の素冷凍食品「ギョーザ」45周年を記念した特別企画で、駅のホームで餃子を焼いて食べるという、なんともユニークなイベントは連日行列ができ大盛況だったとか。
いかがだったでしょうか。
いろいろな理由で廃止になってしまったけれど、たくさんの人が乗り降りしていた駅たち。そこにあったさまざまな物語や出会いを想像すると、見慣れた風景もちょっと違って見える気がします。
休日にちょっとだけ足をのばして、東京の鉄道の歴史に触れてみるのもおもしろいかもしれません。