MAツールなどを利用して一斉配信するメールマガジンのクリック率を改善する方法について紹介します。「送信前にこれだけは最低限チェックしておきたい」というキーポイントをまとめました。
メルマガ改善のチェックポイント
- SPFレコードは設定されているか?
- DKIMは設定されているか?
- メール文は「マルチパート形式」で作成しているか?
- 配信対象に応じた適切な送信元設定はされているか?
- 具体的で短いメールタイトルになっているか ?
- メールの配信目的と誘導先は明確か?
- 「クリックしたくなる工夫」はあるか?
①SPFレコードは設定されているか?
クリックを増やすために最初に気に掛けるべきことは、迷惑メール認定への対策です。クリックしてもらう以前に、読み手の手元に届かないようでは困ります。一斉配信したメールが受信者側にSPAMメールとして扱われないようにしましょう。そもそものメールの到達率を上げることは、クリック数を増やすことへの最短の道でもあります。
SPAMメール扱いされにくくするために、いくつか実施できるシステム設定上の対策があります。
最もベーシックかつ効果的なものがこの「SPFレコードの設定」です。
ごくざっくりと解説すると、お使いのメール配信ツールのサーバを「うちの会社のオフィシャルなメール送信元として認定しますよ」という設定です(逆にこれをしないとメール配信ツールのサーバがあなたの会社のドメインを使っていわば「なりすまし」で送っている状態になってしまうので望ましくありません)。
参考:SPF(Sender Policy Framework)│ 迷惑メール対策委員会
ドメイン管理者による作業が必要にはなりますが、SPAM認定されにくくされるための超超基本対策ですので、ぜひ設定を実施してください。
SPFレコードの設定が正しくされているかは、下記のようなサイトで送信元メールアドレスのドメイン(@より後ろの部分)を入力して確認することもできます。エラーが出ず、お使いのメール配信ツールのサーバに関する記述が正しく表示されていればOKです。
SPF Survey – dmarcian
※ 設定方法の詳細については、各メール配信ツールごとに確認してください。
②DKIMは設定されているか?
ポイント2つ目も、SPAMメール判定されにくくするための対策です。
DKIM(ディーキム) という仕組みがあります。
DKIMは簡単にいうと配信されたメールが改竄されていないよということを電子的に保証する仕組みです。厳密にはDKIMには第三者署名と作成者署名という2種類があり、可能であれば作成者署名のほうを設定すべきです。作成者署名のほうは改竄されていない保証の他に、なりすましでないことの保証にもなるためです。
DKIMの設定も、SPAM判定リスクの低減に一定の効果があるといわれます。
なおDKIMについては、一部メール配信サービスやドメイン取得サービスにおいては対応していないケースもあります(主に安価なものではそのような場合が多い)。その際はサービスを乗り換えるか、潔く諦めましょう。
参考:DKIM (Domainkeys Identified Mail) │ 迷惑メール対策委員会
※ 設定方法の詳細については、各メール配信ツールごとに確認してください。
③メール文は「マルチパート形式」で作成しているか?
メールの開封率を取得するためにはHTML形式でのメール配信が必要です。また、メールを装飾できたり、URLリンクを任意の文字列に対して設定できたりするのもHTML形式のメールのメリットです。
しかしながらHTML形式のメールは、受け手側の設定によってはそもそも受信してもらえなかったりSPAM扱いされてしまうケースが一定数あります。
そのようなケースに備えておすすめなのが 「マルチパート形式」での送信。これはあらかじめテキスト形式とHTML形式を同時に両方とも設定・送信しておくことで「HTML形式が拒否されたらテキスト形式のほうを届ける」というのを自動でやってくれる形式です。
文面を2つ作る手間はありますが、少しでもメールの到達率を上げるための策として有効です。
実際にマルチパート形式で配信してみると、テキスト形式のほうにも少なからずクリックがつくことが確認できると思います。HTML形式は受信できない/しない人は、やはり一定数いるということがわかります。
④配信対象に応じた適切な送信元設定はされているか?
一斉メールを送る際、送信元のメールアドレスや送信者名はどのようにセットしていますか? One to One メール風に個人名義からの送信として設定していますか。それとも企業名や「マーケティング部」などの部署名での送信でしょうか。
これはどちらのほうが一概によいという話ではなく、たとえば送信元とする個人と既に何度も面識のある人に対して送るのであれば、個人のアドレスから送ったメールのほうがきちんと読まれる可能性が高いでしょう。逆に受け手がまったく面識のない個人のアドレスから送るよりは、むしろ社名や部署名で送ったほうが信頼されるかもしれません(実際私が過去に行ったA/Bテストではこのような傾向が出ました)。
配信先の属性・セグメントに合わせて、適切な送信元を設定しましょう。
⑤ 具体的で短いメールタイトルになっているか ?
届いたメールが開封されるかどうかの最大の決め手は、メールのタイトル(件名)です。勝負のほとんどはタイトルで決まるといっても過言ではないでしょう。
メールタイトルのポイントは、メールでオファーしている内容ができるだけ端的に具体的に書かれていることです。たいていのメールクライアントの受信一覧で表示される件名は40-50文字以内程度です。また、人が一瞬で識別出来る文字数は、9~13文字という説も。さすがにメールの件名を13文字に収めることはなかなか難しいでしょうが、一目見ての読みやすさも考慮してメールのタイトルは40文字以内を一度目安にしてみるとよいと思います。
逆にありがちながらあまりよくない例としては、
【株式会社〇〇〇〇 メールマガジン vol.36】
みたいなシリーズ名のようなものを律儀に件名に入れてしまうケースです。受信者にとってはほとんど意味のない情報で貴重な文字数を使ってしまっては非常にもったいないです(もちろんファンクラブ向けの会報メールとか有料メルマガであったら話は別です)。
また、センセーショナルな件名で煽ればいいというわけでもありません(【重要!】【必読!】【読まないと呪われる!】など)。タイトルだけ目立っても、期待する内容が伴わなければ最終成果としてはほとんどの場合逆効果です。
「クリックを増やしたい」という本稿の主旨と一見逆行するようですが「興味のない人にはスルーしてもらって構わない」というくらいの気持ちでとにかく内容のわかりやすいタイトルをつけたほうがよいです。
具体的で短いメールタイトルになっているか、送信前にあらためてチェックしましょう。
⑥メールの配信目的と誘導先は明確か?
マーケティング用語的な表現でいえば「CTA(Call To Action)は定義されているか」ということになります。CTA=ユーザーに行動を起こしてもらうための誘導のことです。クリックを増やすためには「何をクリックしてほしいか」がきちんと明確になっていることが重要です。
これもよくない例からご説明するとわかりやすいと思います。「メールマガジンの本文はコラム的な読み物。クリックカウントを仕込んでいるのは署名欄のホームページURLだけ」というケースを想像していただくと、これではなかなかクリックは見込めないだろうということはおわかりいただけると思います。
もちろんコラム的な読み物の配信が悪いということではありません。しかし「あわよくばメールを読んで会社のことを思い出してくれた人がホームページからたどって問い合わせをしてくれるといいな」というような期待なのだとしたら「いやいやCTAがないよね!」というご指摘をせざるを得ません。
「資料請求をしてほしい」とか「セミナーに来てほしい」とか、明確なオファーを示すべきです。
ちなみに
「誘導リンク先はひとつまで!」「必ずファーストビューに収まるように!」
といったメルマガ改善ノウハウも見かけたりしますが、要するに言いたいことは同じ理由からきていると思います。 個人的にはそこまでがちがちに厳密でなくてもよいとは思っていますが、心がけとしては同意です。
メールを配信するにあたり「メールを配信する目的と、メールの誘導先は明確か?」をきちんと定義しましょう。
⑦「クリックしたくなる工夫」はあるか?
最後に、リンク先URLを「思わずクリックしたくなるような」工夫について検討しましょう。
たとえば
・セミナーやキャンペーンであれば「本日申込締切り」等、期限を添える
・「クリック率を3倍にした〇〇とは?」と一部を隠し、リンク先に誘導する
・「1分で理解」「ワンクリックで応募可能!」など簡便さを伝える
などといったことです。
これについては自分が受け手として思わず開いてしまったメールのリンク先について、日ごろから研究したりストックしておくといいと思います。
まとめ
以上 、現場からでした。