「サプール」という人々をご存知でしょうか。
独特の色使いのファッションに身を包み、軽快にポーズを取るその姿は、ここ数年、多くのメディアで取り上げられ、写真集が発売されるなどして注目されています。
そして現在、「サプール写真展~平和をまとった紳士たち~」という写真展が開催され、日本各地を巡回しています。
今回はその「世界一おしゃれな男たち」と呼ばれるサプールをご紹介します。
サプール( SAPEURS )とは?
サプールとは、世界最貧国のひとつと言われるアフリカコンゴ共和国に暮らしながらも、「世界一おしゃれな男たち」と評される人々のことです。
フランス語で、「おしゃれで優雅な紳士協会」という意味を持つ「Societe des Ambianceurs et des Personnes Elegantes」という言葉の頭文字を省略した「SAPE(サップ)」というスタイルを楽しむ人々が、サプールと呼ばれます。
アフリカコンゴ共和国の首都ブラザヴィル郊外、バコンゴ地区にサプールはいます。
コンゴ共和国の国民の平均月収は約3万円。3割の人々が1日の生活費を130円以下で暮らしています。しかしバコンゴ地区では週末になると、高級ブランドに身を包んだサプールたちが街を闊歩するのです。けっして裕福とは言えない生活でサプールたちは、年収の平均4割を海外の高級ブランド服を買い集めることに使います。そこには、ただ単に着飾るだけではなく、「武器を捨てエレガントに生きる」という平和を求める信念を持った人々の、生きる姿があります。
SAPEUR・サプール「平和をまとった紳士たち」www.sapchano.com
侵略や内戦に苦しめられた末に
コンゴ共和国は、1882年にフランスの植民地となり、1960年に独立を果たしました。
サプールのファッションは支配されていたフランスのファッション文化が色濃く影響しており、そこにコンゴ人の元来のセンスや美意識が融合して生まれた文化と言われています。
コンゴ共和国は独立後も内戦に苦しめられ、人々は好きな服を着る自由さえ奪われました。
国民の多くが敬虔なカトリック教徒であるコンゴ人は、内戦がおさまった今も、かつての悲惨な戦争体験から暴力反対を唱え、強く平和を願ってきました。
その中でサプールの「服が汚れるから戦わない」というシンプルな信念は、コンゴ人から支持され、サプールそのものが平和の象徴として慕われているのです。
海外のドキュメンタリー番組で紹介されたサプール
The Congo Dandies: living in poverty and spending a fortune to look like a million dollars
サプールという生き方
サプールとして認められるには着こなしだけではなく、教養や正しい倫理観を持ち、人を敬い、人から尊敬される人間性を持たなければいけません。
「銃を服に持ち替えて、世界中の人がサプールになれたら戦争はなくなる」
サプールの大ベテラン、ゼブラン・ムイエンゴさんはこう言います。
サプールとは平和を愛し、自分らしく生きようとする生き方そのものなのです。色あざやかなサプールの姿は、世界中の人たちの平和への願いを体現しているようでもあります。
ぜひサプール写真展に足を運んで、その美しさを堪能してみてください。
サプール写真展「平和をまとった紳士たち」
http://dmdepart.jp/sapeur/sapeur_photo.html
会期日程:
大丸心斎橋店 北館14階イベントホール 9月7日(木)~18日(月・祝)
松坂屋名古屋店 南館1階オルガン広場 9月13日(水)→25日(月)
※北館 GENTA(ジェンタ)2階・3階エスカレーター横 レストスペースにてミニパネル展同時開催(無料)
大丸東京店 11階催事場 9月28日(木)→10月10日(火)
大丸札幌店 7階ホール 10月18日(水)→30日(月)