1000社以上ある日本の出版社の多くは、意外に規模が小さいのをご存知でしょうか?
多くの人が一度は名前を聞いたことがあるだろう出版社「講談社」「集英社」「小学館」は、従業員約1000人の大手出版社。しかし、それ以外はというと、従業員が10人以下という出版社が多くを占めます。
本や紙物の不況の時代だといわれている中、そんな小さな出版社も、個性やカラーを色濃くだして、素敵な本を出版されています。
その中から、場所や人に想いを寄せて出版されているなあと感じた3社を、あ総研がご紹介します。
泊まれる出版社 「真鶴出版社」
まずご紹介するのは、神奈川県の西の西の端っこの真鶴町にある出版社、真鶴出版社。
こちらは、真鶴町の情報を外に発信していくことを目的とした出版社であるのですが、ただ本を出版するだけにとどまらず、真鶴町に泊まって町を体感できる宿泊施設も展開する、まさに「泊まれる出版社」。
ちなみに、予約は先まで埋まっていて、なかなかとれないらしく大人気の様子。
一度泊まってみたい。
真鶴出版社WEBサイト:http://manapub.com
夫婦で本を編む出版社 「アタシ社」
次に紹介するのは、神奈川県逗子市唯一の出版社であり、夫婦ふたりで本を作っているのが特徴の出版社、アタシ社。
どうやって仕事を分担しているのかな?と思って調べたところ、妻はデザイナー、夫は編集者という住み分けだそう。
刊行されている本は、『髪とアタシ』という美容文芸誌や、都市に住む30代女性をターゲットにした『たたみかた』などなど。
妻でデザイン担当であるかよこさんのプロフィールにある「常に言葉のバランスを大切にすると共に、現代を否定しない文脈を探しています」という言葉が印象的。
■アタシ社WEBサイト:http://www.atashisya.com/index.html
具体的なひとりの読者のために本をつくる 「夏葉社」
「具体的なひとりの読者のために、本を作っていきたい」、「ひとりの読者が何度も読み返してくれるような本を作り続けていくこと」(夏葉社HPより引用)、そんな想いをもって出版されている、夏葉社。
この想いは、夏葉社の本のラインナップをみていると、少し分かる気がします。読んでみても、著者自身のもつ、街や人、ものに対する愛着を題材にしている本が多いという印象を受けました。あるときは雑貨、あるときは街、あるときは古本、あるときはレコードというように。
例えば、著者が見てきた神保町の街をイラストで構成した本「神保町」は、著者の神保町への愛が、読んでいるとひしひしと伝わってきます。
夏葉社の本を読んでいると、自分の大事にしている人やものを思いだします。
■夏葉社WEBサイト:http://natsuhasha.com
3社三様、それぞれの個性がありますね。
最近では取次を介さずに本屋と直接やりとりができる「直取引」という形が増えて、個性の強く面白い小さい出版社の本が本屋さんにたくさん並ぶようになりました。(以前までは出版社は必ず取次の会社を通さないと、本屋さんに本を卸せませんでした。)
いつも通り、本を作者や題名、表紙の絵で選ぶのもいいですが、出版社で選んでみるというのも面白いかもしれませんね。