「21世紀を代表する会社を創る」。
2000年代日本のITベンチャーの代表格であり、アメーバブログやスマホゲームなど数多くのサービスを成功させてきた株式会社サイバーエージェントのビジョンです。
2016年度通期売上は3000億円を超え、その勢いはさらに加速しビジョンの実現に近づくサイバーエージェントですが、どんな会社なのか意外と知らないという人も多いのでは?
そこで、思わず誰かに話したくなり豆知識の側面から、サイバーエージェントに迫ってみたいと思います。
事実1: 藤田社長が起業を意識するようになったのは20歳のとき
サイバーエージェントの創業社長である藤田 晋(ふじた すすむ)氏を起業の道に歩ませたのはベンチャー企業でのアルバイトの経験から。
アルバイト先の社長が年齢的に近かったこと、営業として猛烈に働き自信がついたことから「これならできるかもしれない」と、それまでぼんやりと考えていた起業を、よりリアリティのあるものとして意識するようになったそう。
事実2: 創業時は大企業の子会社としてスタート
藤田氏は新卒で総合人材サービス会社であるインテリジェンスに入社。猛烈に働き、社内でも注目される存在になっていった。そんな中、藤田氏が起業を決意したのはなんと入社1年目のこと。起業に動いていることを知ったインテリジェンスの宇野社長(当時)は慰留を試みたものの、藤田氏の熱意の前に諦め、ついには出資を申し出ることになったのだそうです。このような経緯により、1998年、サイバーエージェントはインテリジェンスの子会社としてそのスタートをきったのです。
事実3: 社名に特別な意味はない
「サイバーエージェント」。この社名を考えたのは、共に起業した日高副社長だったようです。
藤田氏は起業する際、社会に受け入れられる公共生の高い会社を創りたいと考えていました。そのため、たとえば自分の名前を社名に入れるような、社長の個人的な思い入れや色合いが強く反映されるような名前にはしなくなかったのだそう。そこで日高副社長の考案した「サイバーエージェント」という名前を採用したのだそうです。特別な意味はなくても、ある意味で創業者の哲学はしっかりと込められている社名だといえそうです。
事実4: ブレイクのきっかけは「模倣サービス」!?
「サイバーエージェント」の創業当時の主力事業は、クリックされると報酬が発生する仕組みの広告商品を扱う営業代理業でした。しかし代理業のままでは生き残ってはいけないと強い危機感を持っていた藤田氏は、扱っていた商品とほぼ同じモデルの商品を、自ら開発しメーカーとして販売するという荒技に出ました。結果的にこの決断が奏功し、サイバーエージェントは急成長していくことになります。ちなみにこのとき模倣元として参考にされた商品を開発したのは、堀江貴文氏が社長を務めたオンザエッジ(後のライブドア)だったそうです。
事実5: 東証マザーズ株式上場の際の藤田社長の年齢は26歳で、当時の史上最年少記録
自社商品を得て経営を軌道に乗せたサイバーエージェントは世界的なインターネットバブルの時流にも恵まれ、起業からわずか2年後の2000年3月24日、藤田氏26歳の時に東証マザーズ上場を果たします。これは当時の最年少記録でした。サイバーエージェントがこの時に調達した金額は225億円。時価総額は約700億円にまで達し、その話題性の高さからサイバーエージェントは社会に広く認知されることになりました。ちなみに2017年現在の最年少記録は、2011年12月7日に25歳で東証マザーズに上場した株式会社リブセンスの村上太一社長です。
事実6: 上場からわずか1年で、会社は存続危機に…
2001年にインターネットバブルは崩壊してしまいます。IT株は大きく値を下げ、サイバーエージェントの株価はピーク時の10分の1にまで落ち込みました。株主からは大きな批判を浴び、追い打ちをかけるように村上ファンドがサイバーエージェント株を買い占めていることが判明。ホワイトナイトとして楽天の三木谷社長が手を差し伸べたことでこの窮地を乗り越えたサイバーエージェントでしたが、一時は、会社売却を考えるまでに追い詰められていたと藤田氏自身がのちに語っています。
事実7: アメーバブログ、5年の歳月をかけて黒字化に成功
一時の危機を乗り越え成長を続けたサイバーエージェントは、2004年、自社を象徴するサービスとして、アメーバブログをリリースしメディア事業に参入する。当初は利益が無く、ブログ事業の累積赤字は60億円にまで膨らんでいたが、それでもサイバーエージェントは技術者の採用を増やすなどさらに投資を進めた。他社が利益の出しづらいブログ事業から撤退していくなか、藤田氏自ら牽引し、ついに2009年黒字化を成し遂げたのだ。
事実8: 「新卒入社で即社長」もアリのユニークな人事制度
マネジメントの能力の高い人材を自社で育成するために、サイバーエージェントにはユニークな人事制度が採用されています。子会社の社長に、入社間も無い若手を任命するのもそのひとつ。驚くべきことに内定者の段階で社長に就任している事例も存在します。この制度から垣間見えるのは、人材への投資に積極的な企業文化と、サイバーエージェントで働く成長意欲の高い社員たちの姿です。
事実9: 現代の下克上? 取締役の交代制度
ユニークな人事制度は他にもあります。サイバーエージェントには、取締役の交代制度があるのです。
これは原則として2年毎に8名いる取締役のうち2名を入れ替えるというもの。もともとは社員が取締役を目指しやすい環境を作ることで、働くモチベーションの向上を狙った制度でしたが、取締役たちが負けじと従来にも増して高い成果を出し始めるという、思わぬ効果をもたらしました。
事実10: スマートフォンシフトの成功で売上が3倍に!
サイバーエージェントは長くPC環境に向けたサービスで成長を遂げてきましたが、スマートフォンの登場を受けて大きく戦略を転換したました。積極的な投資により2011年において全体の10%に満たなかったスマートフォン向けサービスの売上は、2016年には80%を超えるまでに変貌を遂げます。そしてその売上額は2011年からの5年間で約2,000億円の増加。まさに飛躍的な成長を成し遂げました。
サイバーエージェントのサービスをひとことで表すのは難しいですが、その強さは、環境変化への対応力と忍耐力にあるといえるでしょう。人材とサービスへのリスクを恐れない投資によって変化に柔軟に対応し、可能性があると見れば、成功まできちんとやり抜く忍耐力によって、その競争力は支えられています。
参考書籍:
『渋谷で働く社長の告白』藤田晋/幻冬舎文庫
参考サイト:
株式会社サイバーエージェントHP
https://www.cyberagent.co.jp/ir/strength/
https://www.cyberagent.co.jp/topics_detail69/id=6874
藤田社長のインタービュー記事
https://japan.cnet.com/article/20403781/
http://case.dreamgate.gr.jp/mbl_t/id=351