私の所属しておりますアソブロックという会社にても、毎年というわけではありませんが、新卒採用をやらせていただいております。メンバー総勢10数名という規模ですので、専任の人事・採用担当というのはおりません。ゆえに、いちメンバーたる不肖私めなども面接を担当させていただくことがございます。
面接をする側に立ってみまして初めて、面接官が応募者の方へどんな意図のもとに様々な質問を投げかけているのか、気づかされることもあるものでございます。
そうした面接官側の質問に秘められた本音につきまして、あくまでも個人的な見解ではございますが、これから新卒採用面接に臨む方々の心の準備の一助になればと、私なりにまとめてみた次第です。
面接官
『自己紹介をお願いします』
これはスタンダードなようで意外と、興味がない応募者にはしない問いかけです。
だって、申し訳ないですが、興味のない人の一方的な自己PRを聞くのなんて、苦痛以外のなにものでもないですから…。応募書類読めば、ひと通りのことはわかりますし…。
なので、あえてこの問いかけをするというのは、その人に少なからぬ興味をもっている証拠といっていいでしょう。
(もっとも、「何はともあれとりあえず自己紹介は必ずしてもらうようにしている」と単にルール化しているだけの企業もあるかもしれないのであしからず、ですが)
確認したいのはズバリ、プレゼン力です。
特に面接の中盤だったり、二次・三次面接であらためて自己紹介をお願いするような場合には、自分自身を客観的にどう見ていて、どんな風に魅力的に語ってくれるのか、そのセンスとトーク力を見たいなという意図があります。
面接官
『あなたの”強み”はなんですか?』
この質問をするときは、おそらく面接官なりに「この方はここが強みかな」というアタリはついています。
自分の見立てが当たっているか、確認したくて聞くのです。
基本的には見立てに合致した答えが出てきたほうが、心象的にはややプラスの評価に動きます。(積極性がありそうだな)→「”強み”は積極性です!」→(キタキタ!)と勝手に盛り上がります。
応募者の答えが面接官の見立てに合致していない場合は、ぐっと評価が下がるか、ぐっと評価が上がるか、イチかバチかどちらかです。
答えに対して面接官が意外そうな or 残念そうな反応を示したら、その次の対応を間違えてはなりません。
もちろん面接官が見立てを誤ることも普通にあることですから決して焦らず、「意外に思われることが多いのですが」と枕詞をつけて、正直な自分を伝えましょう。
間違っても、その場の空気を読んで面接官の期待に合わせようとはしないこと。付け焼刃でむりやり”強み”をひねり出したような残念な印象になってしまいます。
一見ではわからない、芯の強さのようなものを伝えられたら、一転して好印象を与えられる可能性も大いにあります。
(余談になりますが、個人的に思う”強み”の切り札は、「段取り力」ですね。学生に不釣り合いな背伸びした感じや変に奇をてらった感もなく、有能さをアピールできるので、おススメです。もちろん嘘でなければ、ですよ)
面接官
『あなたの”弱み”はなんですか?』
“強み”の時と同じで、面接官なりに「ここが弱みかな」という見立てがあり、確認するために質問することが多いです。
いきなり”弱み”を聞くのも悪いので、”弱み”が聞きたいがためにあえてワンクッション”強み”を聞くこともあるでしょう。
応募者の答えた”弱み”が面接官の見立てにビンゴだと、「嫌な予感的中!」と基本的には不安倍増です。
一方で、回答が面接官の見立てとズレていても、残念ながら不安は倍増です。嘘をついているか、自分を客観的に見れてないんだなと思っちゃいます。
そう考えるとこれ、応募者には結構、手厳しい質問ですね。もはや八方ふさがり的な四面楚歌じゃないかと言われると、そんな気もしてきます。
打開策としては、そうですね、正直に答えてから最後に「…という弱みがあるんですが、そういう人は御社では働けませんか?(笑)」と和やかに質問返ししてみてはどうでしょう。
面接官も直球で「無理だね」とはなかなか言えませんので、何かしら、会話に持ち込めるはずです。
面接官
『趣味はなんですか?/サークルや部活ではどんなことをしていましたか?』
仕事や仕事観に直接関係ない話題を振るのは、その人への(採用観点での)興味度は低いことが多いです。
不採用の場合ほど、とりあえず楽しく話せるように努めます。
応募者の心象を悪くしたくはないですし、単純に面接官とて、無駄な時間にならぬよう楽しく話したいですから。
面接官
『志望動機はなんですか?』
実際の聞き方はいろいろだと思いますが、ベタ中のベタのこの質問が、やっぱり面接官としては一番知りたいことです。
新卒採用においては特に、応募者の価値観・仕事観がその会社に合うかどうかの判断は、応募者の能力の高/低の判断以上に超々重要です。
ですからこうした質問によって、応募者の価値観を確認するわけです。といっても、実際のところ、必ずしも気宇壮大なビジョンを語ってほしいわけではありません。
そもそも人様の夢や理想や働く動機に対してやれ合格だ不合格だととやかく評価するなんて、面接官ごときにそんなつもりも権利もないですから。
それより面接で行いたいのは単に「そういう期待でこられても、ちょっと違うんだよなぁ」というミスマッチが発生していないかどうかの、ネガティブチェックです。
最低限の企業研究をしていただいて、とにかくズレたことは言わないようにしてほしいなと思います。
面接官
『他にどんな会社を受けてますか?』
応募者にとってはなかなか正直に答えにくい質問かもしれませんが、面接官的には、実はこれも単にその人の価値観が見たいだけです。
「うちが第一志望だよね」みたいなプレッシャーをかけたいとか、そんなオワハラ的な他意は、全然ありません(…そのはずです)。
どういう軸で企業を見ているのか、この会社を誤解して受けていないか、確認したいのです。
「なるほど仕事内容自体より自分が成長できる環境かどうかを重視して会社を探しているんだな」とか「あぁ単にミーハーで受けてるだけだな」とか、そういうことを見抜きたいだけです。
なので、この質問にはぜひ臆せず素直に答えてください。
面接官
『最後にこれだけは言っておきたい、ということはありますか?』
面接官は基本的には、応募者の良いところを最大限に引き出した上で、採用不採用の評価をしたいと考えています。
本当は活躍できる人材をみすみす見落としたとあらば、その面接官の落ち度であり、会社の損失だからです。
この質問の本音は「ぶっちゃけ今のところピンときてませんが、もしかしたら自分のつたない面接ではあなたの魅力を最大限に引き出せなかっただけかもしれないから、こちらの引き出し方が間違っているよってことだったら、そっちからアピールしてね」です。
いうまでもなく、応募者側からすると、大方において不利な状況に置かれているといっていいでしょう(もちろん、時間が余ったなどで、特に深い意味はなく一応聞いておくという場合もありますので、過度に気にしないでね!)。
もし面接官が既にややネガティブに応募者の方を見てしまっている場合は、この振りに対して一発逆転を狙って奇をてらった発言をするのは、おおよそ逆効果です。たとえばなんとか糸口を探ろうと、雑談力アピールで面接官のプライベートに切り込もうとかしても、仕事観と関係ないので逆転の可能性は極めて低いと思います。
ここは論理的に「私を採用する御社にとってのメリット」を語るか、「とにかく体力だけは自信があります!」などと気合いを伝えるか、キャラクターに合わせてシンプルにアピールするのがよいんじゃないでしょうか。
以上、
最後に私の本音といたしまして、ぜひこんな記事のことは真に受けずに素直に面接受けていただければよろしいかと思います。