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団遊曰く。編集者の役割とは「出会いの創造主」である

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「世の中を編集する会社」アソブロックのメンバーにそれぞれの編集論を聞いていく企画。今回は代表の団遊氏に「そもそも編集者の役割とは?」について聞きました。

 

──今回は「編集者」としての団さんにお話を聞くぞという主旨でして。いきなりですが団さんとってズバリ、編集者の仕事とは何でしょう?

「新しい世界と出会わせてあげること」じゃないですかねぇ。

 

──新しい世界と出会わせてあげる…。それはつまり、今までになかった視点を世の中に提起してあげるみたいなことでしょうか?

うんうん。

なんか、モノづくり、たとえばメディアならメディアでもいいですけど、メディアをつくった結果、読み手が「こういう人たちがいるんだ」とか「こんなアイディアがあったんだ」とかの気づきに出会う。そういう「出会い」の創造主的役割が、編集者という仕事なんじゃないかなと思います。

 

──それは、昔ながらの編集者の役割というより、少しずつ編集者の役割がそのように変わってきているという感覚ですか?

うん。もちろんもともとそういう要素もあったのだけど、よりそうなってきているという気がしますね。

だから、昔で言えばたとえば『an・an』をよんだり『POPEYE』を読んだりして、充分新しい世界に読者は出会っていたと思うんですよね。「ああ、アメリカ西海岸ってこんなんなんだ」とか。

だけども、それらはいわば新しい知識が増えたという「知識レベル」での出会い方だなと思うんです。

これからは、それを「体験レベル」に上げていってあげたほうがいいと思っています。

もちろん今このご時世でも、知識レベルでの出会いの余地はいくらでもありますよ。世の中、知らんことだらけです。ですけど、「知らないことを教えてもらえた」っていうことへのありがた感はあんまりないわけですよ。それはググったらわかるでしょみたいな(笑)。

なので、じゃあその先の何が編集者の役割かというと「こんなふうな体験ができると思わなかった」とか「こんな幸運な出会いが私に訪れるとは思わなかった」とか、リアルな実感を伴う出会いをどんどんと提供したり、その体感を演出をできるのが、良い編集者みたいなことじゃないかなと思って。

 

──「体験レベルの出会いを創造する」という例を、もう少し具体的に教えていただくとすれば?

たとえばって話だと、元編集者がやたらと町おこししてたりするじゃないですか。まさに「知識レベルの出会いの創造」から「体験レベルの出会いの創造」に編集者の役割が変わってきているということを直感的なのか、論理的なのかは別として、わかっている人たちが、それだけいるってことだと思ってます。

紙でやってきたことにちょっと閉塞感が出てきたあたりで、〇〇県にいって、培ってきた編集の能力を使って、紙で考えてきたことを「リアルな場」でやっただけで、みんながすごい感動してくれてっていう。「ああ、これも編集やな」みたいなことに気づいていっているんじゃないですかね、そういう人たちは。

 

──団さんご自身のお仕事の話でも具体例を教えていただくことはできますか?

そうですね。丹波市のKOTOS(株式会社 由良工務店)さんのお仕事なんかは、「家をつくる会社から、丹波をつくる会社へ」というブランディングのプロジェクトでまさに町づくり的な話、「場」をプロデュースする話だったかな。ちょっと長なるんで別の機会に話しますけど(笑)。

 

──そうですね、ぜひ(笑)。ところで「編集者」っていうと書籍や雑誌など「紙モノ」の編集者のことを最初にイメージする人が依然として多いようにも思うのですが。そのことについてはどう思われますか?

そうですね。たしかに雑誌編集者的なものが、昔は編集者という感じで。書籍か雑誌かみたいな。

で、そこにWebが出てきて。最初は、Web編集者っていうのも「雑誌の代わりのウェブ」という意味合いでそういう言い方をしていたと思うんです。

でも、今はWeb編集者って、雑誌編集者よろしくひたすら原稿をプリントアウトして赤入れするっていうイメージたぶん誰ももっていないですよね。

Web編集のほうが、どちらかというとさっき言った、より今風の編集の概念で、編集をしてはる気がするんです。

やっぱりいろんな接触や拡散の選択肢があるし。応募フォームからなんかとか、リアクションもとりやすいし。すごくインタラクティブ。そのインタラクティブを抜けて、場作りにもつなげやすいし。

逆にいえばWebのほうが、SNSをどう使うかとかも然りですけど、そもそも読者単体でなく社会とか世の中全体までワンストップで考えられる能力がないと、良い編集者と認められにくいところもあるでしょうし。

 

──これからはやっぱりWebの時代だぞ、と?

いやいや、別にWeb編集者をことさら持ち上げているわけではなくて。そもそも「雑誌編集者」とか「Web編集者」というくくりがもはやちょっと違うなと思っています。

世間から見たイメージの問題というより、僕ら編集者側もまず変わっていかないとあかんなと思いますよ。やっぱり僕ら位の年代でいうとね、中途採用の面接なんかでも履歴書見せて「わたしずっと編集してきたんです、いやでも、実はウェブの経験はすくなくて…」みたいなこというわけですよ。その見立て自体が古いな、昭和的だなって思いますね。あ、平成的な、ですかね(笑)

どっちかというと、媒体なんて紙でもWebでもコミュニティでも町や村でもなんでもよくて。「何と何を出会わせてきたか」ということで実績を語れないと、ぜんぜん編集者っぽくないというか。

逆に、HTMLとかタグがわかんなくて、とか、そんなんどうでもいいっすよって(笑)

 


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