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第57回 2月17日(土)
会場:品川インターシティ(品川)




第57回目の家族理解ワークショップは 17名の方にご参加いただき開催しました。 その様子をレポートします。

【オープニングトーク】

オープニングトークは、 毎回扱う題材を変えながら、 このワークショップで学ぶあらゆることの基礎となる、 家族システム論について話があります。

ワークショップには、児童相談に関わる人、ケアマネ、医療関係者、 学校や幼稚園保育園の先生、法曹関係者、カウンセラーなどあらゆる年代の 「人に対してサービスを行う人(対人援助サービスと総称)」を中心に、 一般家庭のお母さんやお父さん、将来対人援助職への就業を考える大学生まで 色々な人が集いますが、そこで共通に役立つ考え方として学んでいるのが、 「家族システムへの介入による解法」です。

「家族システムへの介入による解法」とは、 問題とされる個人の内面に焦点を当てるのではなく、個人の持つ関係性、 中でも家族という万人が共通で持つ関係性に焦点を当て 問題解決を図ろうという考え方です。

例えば不登校の問題解決を検討する際に、 不登校児のココロの在り様に焦点を当てるのではなく、 不登校児の家族の関係性に焦点をあて、 その関係性に変化や刺激を与えることで、 結果的に不登校状態が続かない状況をつくっていこうとします。

講師は、繰り返しこう言います。 「大事なのは原因を究明することではなく、 課題解決に向けた具体的な作戦を授けること。 家族という集団には、解決に向かう力必ずあると信じること。 専門性は、家族理解の上にあるものに過ぎないと自制すること」

対人援助職者は、初対面の際に、まずは相手に 「そんな風に私(たち家族)を見てくれている人がいると思うと、少しは頑張れる気がします」 と思ってもらうことが大切です。 そんな信頼性の獲得に向けた具体的な行動が、家族理解です。

それに加える形で、今回は「異を唱える」という話もありました。

世の中は、様々なことが進歩しています。 テクノロジーが発展し、豊かと言われる世の中になりました。 しかし、人はその歩調にあわせて加速度的に幸せになるかというと、決してそんなことはありません。 むしろ、生きづらさを感じている人が増えているかもしれません。

その「生きづらい世の中」であることの要因のひとつが「異を唱える」ことのできにくさにあるのではないかと講師は話します。 何に異を唱えるのか、その主題が問題なのではなく「異を唱える」という行為そのものが焦点です。特に対人援助職に就く人にとっては、流行に流されることなく、違和感を感じ異を唱えることが大切だという話でした。



【セッション1】

セッション1も引き続き講話です。 「口頭試問からいくつかの話題」と題して、講師が教授の任にある立命館大学大学院 応用人間学研究科の卒業論文の研究テーマから、興味深いものをいくつか取り上げ話がありました。 中でも印象的だったのは、難病病棟のMSWの方についての研究です。

「あなたに私の何がわかるのか」

こういう言われ方は、対人援助の職にある方は、一度や二度ではなく受けたことがあると思います。 親だって「お父さん、お母さんに何が分かる!」と言われるのは常です。

相手の側にはどうやっても立てない時に、人はしばしば無力感に襲われます。 MSWの方は、そのことが特に強いと言います。 基本的に、難病指定の治らない病気を抱えた方を支援する仕事です。 医者にもできることはありません。

「患者を治す」ことを使命と考える医者からすると、治らない病気の患者に寄り添うすべを知りません。 「きっと治るからね」と言えない医者と患者という関係性には、一種独特のものがあり、そこで頼りにされるのがMSWです。

さりとて、MSWにも患者を治せるわけではありません。 そんな立場で、対人援助職者としてできる限りの支援をする、「支援とは一体何なのか?」を問いかける内容でした。



【セッション2】

セッション2は恒例で「参加者の3分間トーク」を行います。 普段の人付き合いが、職場の同僚を中心にどうしても固定化してしまう傾向がある中で、同じヒューマンサービスの職に携わりながらも、対峙する相手や取り扱う問題がまったく違う人と輪になり「最近私の周りでは…」とお互いに報告します。

今回は6人1組で行いましたが、それはつまり、近接領域で今起こっているいくつもの話が同時に聞けるということです。

学校や病院や介護の現場、家庭や学生たちの間で起こっている問題。 それぞれは個別的でも、同じ社会を構成する人に起こっている問題であることに変わりありません。 そして、それぞれが本当にまったく無関係かというと、実はそうでもないことが多いのです。

幼稚園で起こっている問題が、形を変えて高齢者の現場で起こっていることもあります。 それらを聞きながら、整理し、改めて自分の現場や家庭で役立ててもらおうというのが、このセッションの目的です。

3分の話を聞いた後は、それをネタに7分間、メンバーでディスカッションします。 すると、そこで起きている問題や課題がより明確化したり、あるいはメンバーの意見を聞くことで、発表者が事実をこれまでと違う視点から見られるようになったりします。

参加前は「この3分間トークが不安で…」

とおっしゃる方も時々いらっしゃるのですが、実際にやってみると、なんてことはない職場や家庭での雑談を、普段とは違うメンバーで行う感じで楽しいのですよ。



【セッション3】

セッション3は、こちらも恒例の「ジェノグラム面接」の演習でした。 ちなみにジェノグラムとは家族関係を図示するものですが、このワークショップで繰り返し学ぶ技術です。 この技術を学び・使い・経験を積み重ねることで、

・ジェノグラムを見て、家族関係のバランス・アンバランスを感じ取ることができる
・バランス、アンバランスから具体的な援助プランを考えることができる

というメリットがあります。

あくまでもジェノグラム面接の演習ですので、「面接を通じて解法を考える」までは踏み込みませんが、興味深い時間でした。



【セッション4】

セッション4は「事例検討」でした。 「事例検討」は講師が実際に担当、あるいは見聞きしたケースについて、その処遇をみんなで話し合うプログラムです。

場に出されるケースは、相談が進行中のケースも多いため、詳細は伏せますが板書された情報(ジェノグラム)を見ながら、最初は一人で、次にグループになり、この家族は「どんな家族なのか」さらに、「どんな具体的援助ができるか」のアイデアを出し合います。

それぞれのグループで出たアイデアは、場に出され、共有され、さらなる意見交換を積み重ねながら各人に蓄積されていきます。 最後に講師が「私はこう考えます(考えました)」ということを話すのですが、もちろんそれが正解なわけではありません。

あらゆるアイデアは可能性に満ちています。 援助者として大切なのは、たくさんのアイデアを出し、具体的な変化を来談者(や自分の家族)にもたらしてあげることです。 人を援助する方法に「法則」や「シナリオ」はありません。 100のケースに100の解法があることは、誰もが感じていることだと思います。

だからこそ、こういう場で事例検討を通じて 「いつもの私では思いつかないような」アイデアに触れ、 蓄積していくことに意味があります。

事例検討で話し合われているのは、「起こったこと」ではなく「起きそうなこと」。 私たちは、いざとなると「起こったこと」に集中して議論してしまう傾向がありますが、ここでは「起こっても不思議ではなかったこと」を中心に話します。

起こってもよかったことが起きなかった要因は、
単に「運がよかった」だけなのか?
それだけでもないのではないか?
実は、起こらないように何か工夫されていたことがあるのではないか?

野球のイチローがケガをしないのは、 単に「運がいい」だけではないことは、誰もが知っていますが、 家族においても「起こってもよかったことが起こらない」背景に、 秘められた何かがあるのではないか? そのことを考えるのは十分価値があると捉えて取り組むのが、 事例検討のひとつの意味だと思います。

さて、そんなこんなで、あっという間の6時間。 今回も笑いが絶えないワークショップでした。

次回は、5月12日土曜日に開催します。 会場は、58回目にして初めての浅草。 雷門が見下ろせる、浅草文化観光センター内の会議室です。 ちなみにこの建物は、隈研吾さんの建築。浅草駅から徒歩1分です。

専門職の方から、お母さん・お父さんまで、 次回もたくさんの方のご参加を、お待ちしております。

※文中に出てくるケースや実例の内容、写真等は、実際の講義と一部変更している場合があります

文責/団遊
【今回の参加者の所属(職業)】

児童相談所、幼稚園、居宅介護支援事業所、町役場、NPO法人、こども女性センター、保健センター、養護教諭、乳児院、中学校教師、小学校教師、家庭児童相談室、保育士

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