リーダーズワークショップって?
講師について

参加者の声
お申し込み



第55回 8月19日(土)
会場:東京堂ホール(神保町)




55回目の家族理解ワークショップは 20名の方にご参加いただき開催しました。 その様子をレポートします。

【オープニングトーク〜セッション1】

オープニングトークは、 毎回扱う題材を変えながら、 このワークショップで学ぶあらゆることの基礎となる、 家族システム論について話があります。

ワークショップには、児童相談に関わる人、ケアマネ、医療関係者、 学校や幼稚園保育園の先生、法曹関係者、カウンセラーなどあらゆる年代の 「人に対してサービスを行う人(対人援助サービスと総称)」を中心に、 一般家庭のお母さんやお父さん、将来対人援助職への就業を考える大学生まで 色々な人が集いますが、そこで共通に役立つ考え方として学んでいるのが、 「家族システムへの介入による解法」です。

「家族システムへの介入による解法」とは、 問題とされる個人の内面に焦点を当てるのではなく、個人の持つ関係性、 中でも家族という万人が共通で持つ関係性に焦点を当て 問題解決を図ろうという考え方です。

例えば不登校の問題解決を検討する際に、 不登校児のココロの在り様に焦点を当てるのではなく、 不登校児の家族の関係性に焦点をあて、 その関係性に変化や刺激を与えることで、 結果的に不登校状態が続かない状況をつくっていこうとします。

講師は、繰り返しこう言います。 「大事なのは原因を究明することではなく、  家族の話を聞きながら家族の文化を理解すること。家族という集団には、解決に向けてできることが必ずあると信じること。専門性は、家族理解の上にあるものだと理解すること」

対人援助職者は、初対面の際に、まずは相手に 「そんな風に私(たち家族)を見てくれている人がいると思うと、少しは頑張れる気がします」 と思ってもらうことが大切です。 そんな信頼性の獲得に向けた具体的な行動が、家族理解です。 専門性の登場は、その次です。

今回は「問題が問題なのではなく、問題解決が問題だ」というテーマで話がありました。 多くのみなさんがご経験と思いますが、様々な現場で、 「問題」や「気がかり」「困ったこと」が起こります。

対人援助職者は、直接、あるいは間接的に、 その現場に介入することで、解決を目指します。 例えば不登校のケースで言うと 「学校に行けるようにすること」を目指すわけです。

さて、ではこの不登校は、 いつから「問題」とラベルされたのでしょうか? 風邪で3日間学校を休むことを、誰も不登校とは呼びません。

ちょっと身体の調子が悪くて1週間学校に行けなかった。 これもまだ、不登校と呼ぶ人は少ないと思います。 そもそも「学校行きたくない」と子どもが言っている、 そのこと自体は、これもよくある話です。

ところが、ある子どもが1か月間、学校に行けていないとします。 ここまで来ると、「不登校」だとラベルする人も増えるでしょう。 では「問題の正体は何か?」 それは「長期化」(問題の増殖)です。

あらゆる「問題・気がかり・困ったこと」の正体は「長期化」だ、 と講師は言いました。

不登校の問題を「長期化」だとすれば、解決方法は 「学校に行けるようにすること」以外にも考えられることに気が付きます。 解決方法の第一歩は、「長期化した状態に変化を起こすこと」です。 そのために、家族をシステムととらえて、 どこにどうアプローチするのがもっとも有効かを考えます。

「来談者が話す“問題”は、その方が第一番目と考えている“問題”である。  しかし一方で、問題がひとつしかない、ということは絶対にない。  大きな荷物(問題)を背負っている人にも、必ず別の軽い荷物(問題)が必ずある。  軽い荷物をおろしても、その人(家族)の負担は軽減するのだということを、  援助職者は理解しておかなければいけない」

「例えば“15年間引きこもっている青年”の相談を受けたとして、  いきなりその解決を志向して立ち向かっていくような援助職者は、  その時点で本当のプロとはいえない。  もちろん解決に導ければ方法は何でも構わないが、  より負担軽減の可能性が高い道を提示・提案できる力を持つことが必要。  そのときに、家族理解は最大の武器になる」

世の中は、「間違った人ほどたくさんしゃべる」し 「キレイなことを言う人には注意が必要」、 「上手に援助できていない人同士の専門的議論は無意味」だとリアルに捉えること、 など、耳に残る言葉でこのセッションは〆られました。



【セッション2】

セッション2は恒例の「参加者の3分間トーク」でした。 普段の人付き合いが、職場の同僚を中心に、 どうしても固定化してしまう傾向がある中で、 同じヒューマンサービスの職に携わりながらも、 対峙する相手や取り扱う問題がまったく違う人と輪になり 「最近の私の周りでは…」とお互いに報告します。

今回は6人1組で行いましたが、 それはつまり、近接領域で今起こっている いくつもの話が同時に聞けるということです。

学校や病院や介護の現場、家庭や学生たちの間で起こっている問題。 それぞれは個別的でも、同じ社会を構成する人に 起こっている問題であることに変わりありません。 そして、それぞれが本当にまったく無関係かというと、 実はそうでもないことが多いのです。

幼稚園で起こっている問題が、 形を変えて高齢者の現場で起こっていることもあります。 それらを聞きながら、整理し、 改めて自分の現場や家庭で役立ててもらおうというのが、 このセッションの目的です。

3分の話を聞いた後は、それをネタに7分間、 メンバーでディスカッションします。 すると、そこで起きている問題や課題がより明確化したり、 あるいはメンバーの意見を聞くことで、 発表者が事実をこれまでと違う視点から見られるようになったりします。

参加前は「この3分間トークが不安で…」
とおっしゃる方も時々いらっしゃるのですが、 実際にやってみると、なんてことはない職場での雑談を、 普段とは違うメンバーで行う感じで楽しいのですよ。

今回、私が参加したテーブルで特に印象に残ったのは、
「どのサービスからもこぼれ落ちる人をどう支援するか」
がテーマの意見交換でした。

目の前にいる、独りで生きていくのは難しいように見える被援助者。 しかし、生保を受けることはもちろん、 あらゆる制度にギリギリかからない程度に自立ができています。

地域から福祉的支援の要請を受けるレベルの援助対象者ではあるものの、 何かしらの制度に応募できるレベルの援助対象者ではなく、 さらに、本人の自立心は低い。このような人を目の前にしたときに、 ヒューマンサービスのプロとして私たちはどう振る舞うべきなのか? 答えがある問いではありませんが、それぞれが思うことを言い合いました。



【セッション3】



セッション3は、こちらも恒例、ジェノグラム面接の演習でした。 ちなみにジェノグラムとは家族関係を図示するものですが、 このワークショップで繰り返し学ぶ技術です。 この技術を学び・使い・経験を積み重ねることで、

・ジェノグラムを見て、家族関係のバランス・アンバランスを感じ取ることができる
・バランス、アンバランスから具体的な援助プランを考えることができる

などのメリットがあると言われます。通常は三人一組になり、 インタビュアー・インタビュイー・オブザーバーに分かれ練習しました。 インタビュアーは「ご家族のことを教えてください」の声かけから始め、 丁寧に相手の話を聞いていきます。オブザーバーは、一緒に話を聞きながら、 質問の仕方を見たり、あるいは「どうしてそこをもっと聞かないのか?」 と思う点をメモしたりして、フィードバックの時間に備えます。

インタビュイーは、質問に答えながら、 被援助者の立場に疑似的に立つことで見えることを感じたり、 あるいは、自分の家族を見つめなおしたりします。

ジェノグラム面接はスキルであり、 積み重ねれば積み重ねるほど上手くなります。 そして、参加者の多くが「実際の現場で役に立つ」と言います。



【セッション4】

セッション4は「事例検討」でした。 「事例検討」は講師が実際に見聞きしたケースについて、 その処遇をみんなで話し合うプログラムです。

場に出されるケースは、相談が進行中のケースも多いため、 詳細は伏せますが板書されたジェノグラムを見ながら、 最初は一人で、次にグループになり、 この家族は「どんな家族なのか」さらに、「どんな具体的援助ができるか」 のアイデアを出し合います。

それぞれのグループで出たアイデアは、 場に出され、共有され、さらなる意見交換を積み重ねながら 各人に蓄積されていきます。 最後に講師が「私はこう考えます(考えました)」ということを話すのですが、 もちろんそれが正解なわけではありません。

あらゆるアイデアは可能性に満ちています。 援助者として大切なのは、たくさんのアイデアを出し、 具体的な変化を来談者(や自分の家族)にもたらしてあげることです。 人を援助する方法に「法則」や「シナリオ」はありません。 100のケースに100の解法があることは、誰もが感じていることだと思います。

だからこそ、こういう場で事例検討を通じて 「いつもの私では思いつかないような」アイデアに触れ、 蓄積していくことに意味があります。 事例検討で話し合われているのは 「起こったこと」ではなく「起きそうなこと」。

私たちは、いざとなると「起こったこと」に集中して 議論してしまう傾向がありますが、 ここでは「起こっても不思議ではなかったこと」を中心に話します。

起こってもよかったことが起きなかった要因は、
単に「運がよかった」だけなのか?
それだけでもないのではないか?
実は、起こらないように何か工夫されていたことがあるのではないか?

野球のイチローがケガをしないのは、 単に「運がいい」だけではないことは、誰もが知っていますが、 家族においても「起こってもよかったことが起こらない」背景に、 秘められた何かがあるのではないか? そのことを考えるのは十分価値があると捉えて取り組むのが、 事例検討のひとつの意味だと思います。

今回場に出されたのは、 「53歳夫、46歳妻、13歳長男、10歳長女、77歳祖母」の5人暮らしのケース。 この家族は、何を理由に相談に訪れたのか? 全員で想像し、意見を出し合いました。

このような経験を積み重ねることで、 「どんな相談かは、聞いてみないとわからない」というレベルから、 「そのような家族構成なら、この辺の悩みなのではないか?」 と想像ができるようになります。

想像ができると、質問することが的確になります。 その積み重ねが来談者との信頼関係を生むのだと思います。

そんなこんなで、あっという間の6時間。 今回も笑いが絶えないワークショップでした。

次回は、11月11日土曜日に開催します。 会場は、品川駅とほぼ直結の「品川インターシティ会議室」です。

専門職の方から、お母さん・お父さんまで、 次回もたくさんの方のご参加を、お待ちしております。

※文中に出てくるケースや実例の内容、写真等は、実際の講義と一部変更している場合があります

文責/団遊
【今回の参加者の所属(職業)】

主婦、福祉事務所、ケアマネージャー、保育士、中学校教諭、幼稚園園長、児童相談所、養護教諭、高校教諭、保護観察官、特別支援学校、町役場、家庭児童相談室、教育委員会、社会福祉協議会、相談業務カウンセラー(EAP)、ボディーワーカー

このページのトップに戻る


2014-2017 asoblock Inc. all right reserved.